PythonにおけるErlangスタイルのアクターモデル

Pythonはオブジェクト指向プログラミングの言語であり、アクターモデルを直接サポートしていません。しかし、Erlangスタイルのアクターモデルを実現するために、Pythonには様々なライブラリがあります。本記事では、PythonでErlangスタイルのアクターモデルを実現する方法を紹介します。

アクターモデルとは何か

アクターモデルは、分散システムのモデルの一つであり、独立したプロセスとして振る舞う「アクター」が相互作用することでシステム全体を構築するモデルです。アクターモデルでは、アクター間の通信はメッセージパッシングによって行われます。

Pythonにおけるアクターモデルの実現

Pythonには、Erlangスタイルのアクターモデルを実現するための様々なライブラリがあります。例えば、以下のようなライブラリがあります。

• Pykka
• Thespian
• ActorPy

これらのライブラリは、Pythonのマルチスレッドやマルチプロセス、あるいは両方を使用して、アクターモデルを実現しています。

Pykka

Pykkaは、Pythonの標準ライブラリに含まれる threading モジュールを使って、Erlangスタイルのアクターモデルを実現するライブラリです。以下は、Pykkaを使用してアクターモデルを実装する例です。

import pykka

class GreetingActor(pykka.ThreadingActor):
    def __init__(self, greeting):
        super().__init__()
        self.greeting = greeting

    def on_receive(self, message):
        if message.get('command') == 'greet':
            return f"{self.greeting}, {message.get('name')}!"

greeting_actor_ref = GreetingActor.start('Hello')

print(greeting_actor_ref.ask({'command': 'greet', 'name': 'John'}).get())

この例では、GreetingActor クラスを定義して、on_receive メソッドをオーバーライドしています。on_receive メソッドは、アクターが受け取ったメッセージを処理するためのメソッドです。ask メソッドを使って、アクターにメッセージを送信し、その結果を取得しています。

Thespian

Thespianは、Pythonのマルチプロセスを使って、Erlangスタイル のアクターモデルを実現するライブラリです。以下は、Thespianを使用してアクターモデルを実装する例です。

from thespian.actors import ActorSystem, Actor, ActorTypeDispatcher

class GreetingActor(Actor):
    def receiveMessage(self, message, sender):
        if message.get('command') == 'greet':
            self.send(sender, f"Hello, {message.get('name')}!")

with ActorSystem() as system:
    greeting_actor_ref = system.createActor(GreetingActor)

    result = system.ask(greeting_actor_ref, {'command': 'greet', 'name': 'John'})
    print(result)

この例では、GreetingActor クラスを定義して、receiveMessage メソッドをオーバーライドしています。receiveMessage メソッドは、アクターが受け取ったメッセージを処理するためのメソッドです。system.createActor メソッドを使って、アクターを作成し、system.ask メソッドを使って、アクターにメッセージを送信し、その結果を取得しています。

ActorPy

ActorPyは、Pythonのマルチスレッドを使って、Erlangスタイルのアクターモデルを実現するライブラリです。以下は、ActorPyを使用してアクターモデルを実装する例です。

from actorpy.actor import Actor, ActorSystem

class GreetingActor(Actor):
    def __init__(self, greeting):
        super().__init__()
        self.greeting = greeting

    def greet(self, name):
        return f"{self.greeting}, {name}!"

system = ActorSystem()
greeting_actor_ref = system.create_actor(GreetingActor, 'Hello')

result = greeting_actor_ref.greet('John')
print(result)

system.stop()

この例では、GreetingActor クラスを定義して、greet メソッドを実装しています。system.create_actor メソッドを使って、アクターを作成し、greet メソッドを呼び出して、その結果を取得しています。

まとめ

Pythonには、Erlangスタイルのアクターモデルを実現するための様々なライブラリがあります。本記事では、Pykka、Thespian、ActorPyの3つのライブラリを紹介し、それぞれのライブラリを使って、アクターモデルを実装する例を示しました。